【書籍紹介】エックハルトの『ニュー・アース』の内容をざっくり解説!【エックハルト・トール】

2020年1月21日

ニュー・アース

みなさんはエックハルト・トール(1948-現在)をご存知でしょうか?

ドイツ生まれ・カナダ在住の作家で、精神世界分野の指導者スピリチュアル・リーダー。ワトキンス・レビューやニューヨークタイムズなどによって「世界で最も精神的に影響力のある人物」「精神世界分野で最も人気のある著者」などと評され、この分野では非常に高く評価される人物です。

そんなエックハルトの代表的著作『ニュー・アース』は、私たちの苦しみ・不満・懊悩を生み出す心の仕組みをエゴと捉え、エゴからの解放についてわかりやすく説いた名著です!

今回は、この『ニュー・アース』の内容をなるべくわかりやすくかみ砕いて説明するために、世界観・キーワード・エゴから解放されるための方法の3つの観点からご紹介してみたいと思います!

本書は当ブログ紹介の本の中でも特に優れていますので、少しでも関心があればぜひチェックしてみてくださいね!

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世界観をざっくり知ろう

窓と月と少年の神秘

エックハルトの世界観(考え方)がどんなものかをまずはチェックしていきましょう!

苦しみを生み出すのは " 私 “

私たちは、生まれてから言葉を覚えるなかで、「私」という言葉を覚えます。

私は(主体)、私の(所有)、私を(対象)といったこれらの言葉によって、形あるモノも抽象的なモノも、あらゆるものが「自分」に結び付けられていきます。

本来自己でなかったものを自分とを関連付け、やがて自分と深く同一化させていく心の仕組みをエゴと呼んでいます。たとえば、

  • 私は、知的で人生経験も豊富だ。
  • これは私の大切な思い出の品だ。
  • 彼は私をバカにした。

このような考え・思考は、ごくありふれていて、特別なものではありませんよね。でも、このような考え方が苦しみを生む原因になるとすればどうでしょうか?

苦しみが生み出される理由

上の例のように、もし自分のことを①のように、「知的で人生経験が豊富」と思っていれば、優れた集団の中で”無能”という現実を突きつけられれば、そのプライドは大きく傷つくでしょう。

もし②のように、自分の大切な持ち物をゴミと間違われて捨てられたなら、あなたは激怒するでしょう。

またもし③のように、信頼している人や好きな人にバカされたらあなたは深く傷つくでしょう。

どれも当然のことですが、これらをエックハルト的に捉え直していくと次のようなことが言えます。

①「知的で人生経験豊富」という"考え"を、自己そのものと混同している。
②自分の身の回りのモノを「所有している」「私の大切なモノ」と自分の延長として自己と混同している。
③自己概念(自分が自分だと思っている自分)を本来の自分だと混同している

思考は自分ではなく、所有物は自分ではなく、自分が自分だと思っている自己像も観念上の創作物。

にもかかわらずそれを”自分”と強く結びつけているからこそ、それを失ったり悪く言われたり攻撃されるだけで、不満・恨み・怒りを生み出して苦しみを感じることになるのです。

エゴという心の仕組みによって同一化が引き起こされた結果「あれも自分」「これも自分」と"自己"が肥大していき、苦しみを生む契機を増やし続けているのです。(※2)

※1と※2について
※1
補足ですが、「世のすべては心の問題にすぎない」という極端な話をしているわけではありません。また「全部自分の問題だから」という思想を他人に強要するのも誤りです。これは、あくまで自分のために「自己の視点から捉え直していく」ということです。

※2
苦しみを生むエゴは(心の)間違ったメカニズム(p.51)ではありますが、それ自体は善でも悪でもありません(p.50)。

本書の目的は”意識の変容”

私という認識が生まれ、思考・感情・外的事物・他者など、多くのものに自己に同一化する(何でもかんでも自分の一部として捉える)プロセスのために、苦しみが生み出されてしまうということが『ニュー・アース』では繰り返し説明されます。

そのような精神的事態に対してp.36では本書の目的として、次のようなことを掲げています。

自己の本質は、言葉や思考やイメージに先行していている。本書の目的は、自分と混同されているそれらすべての事物から、(本来の)自分を切り離すことにある。すなわち、当事者である「あなた」の意識を変容させること、目覚めさせることである。

p.36要約

意識の変容と、目覚め。

このテーマを踏まえながら、もう少しこの本を詳しく理解していきましょう。

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重要な3つのキーワード

方法と手順

エゴという心の仕組みのために、私たちはあらゆるものを自分と混同し始めます。それが苦しみを生み出し、集団のレベルで悲劇的な事件を引き起こしてしまうことも。

エックハルトの精神観を同一化、エゴ、ペインボディという3つのキーワードから理解していきましょう。

同一化とエゴ

同一化とエゴは大切なので、もう1度触れておきましょう。

私たちは恋愛で別れを経験すると深く傷つきます。考え方の違う人に批判されれば憎しみを感じるかもしれません。また、自分の持ち物・肉体・職業などをバカにされたら腹が立つに違いありません。これは当然のことです。

しかし、そのような精神的なリアクションが起きるのは、私たちが「所有物・肉体」「社会的役割」「思考や感情」などと自己を同一化してしまっているから。自分そのもの、もしくは自分の延長とみなすことによって、不満や苦悩を生み出すきっかけを創り出しているのです。

このような同一化を引き起こす心の仕組みをエゴと呼び、このような心の状態をエゴイスティックとエックハルトは形容します。

心について理解ある人なら、執着が苦しみを生み出すことを知っているでしょう。執着とはまさに、対象(エックハルトは形と呼びます)と自己の同一化であり、それを切り離すことができないでいる状態なのです。

そして、私たちにとってもっともやっかいな執着の対象(形)がペインボディなのです。

痛みの記憶"ペインボディ"

私たちは古い記憶を長年引きずり、感情的な苦痛の集積を心の中に抱え込みがちです(p.155)。エックハルトはこの痛みの記憶をペインボディと呼んでます。(※これについての集団的・集合的な性質については今回は割愛します)

このペインボディ、ただの痛みの記憶というだけではありません。あたかも一個の生命体のように比喩されます。

ペインボディは空腹になると糧を補充するために目覚める。……あなたの思考というエネルギーを食らおうとするが、どんな思考でもいいわけではない。……ペインボディはネガティブな思考だけを消化する。

p.161

徘徊する魔物のようなものが私たちの内側に潜んでおり、ネガティブな感情の思考を食らって肥大化していきます。不満と狂気の感情が悪循環となり、やがて爆発して、誰かを傷つけたり、壊したりするような行動をとってしまうのです。

これを避け、終わらせるためにはどうすればよいのでしょうか?それが「気づき」であり、そしてその延長にある「今に在る」ということなのです。

気づきと今に在るということ

考える男

「気づき」という言葉は、初期仏教、ニューエイジ、またそれらをルーツにした瞑想法によって取り上げられる用語です。マインドフルネスと言うとピンと来る人もいるかもしれません。

気づきは、自分がその思考・感情を抱いていること、そのような状態・状況にあることを自覚できていること。誤解を招く表現かもしれませんが、心理学的にはメタ認知と言えるかもしれませんし、素朴な言い方をすれば自分を客観視するとか我に返るいうことです。

気づきとは?

エゴという心の仕組みによって同一化は引き起こされ、私たちはありとあらゆるものに執着しています。

これを解消することによって私たちは、多くの自己でないものを認識し、切り離していき、やがて「本来の自己」を認識できるようになるのです。それはシンプルに「気づけばよい」のです。

エゴから解放されるのに必要なのはエゴに気づくことだけだ。気づきとエゴは共存できないからである。(p.90)

気づきは変化の最大の触媒なのだ。(p.113)

ペインボディへの同一化を断ち切るのは、今にあるという意識だ。(p.177)

気づきでネガティブを断ち切る

もうすこし具体的に見ていきましょう。私たちのネガティブな体験はたくさんありますが、

悪い知らせが来る。株価が大暴落した。取引が失敗しそうだ。自転車が盗まれた。姑がやってきた。旅行がキャンセルされた。契約が履行されなかった。……ふいに怒りや不安がふつふつと沸き起こる。

p.205

こういった体験はとてもストレスフルですね。そして、これらはいずれも対象(形)と自己と同一化しているために起きるもの。

株価の大暴落は不安や恐怖の思考・感情を
自転車の盗難は憎悪や嫌悪の思考・感情を
契約の不履行は不安や怒りの思考・感情を

生み出してしまいますが、そのような「思考・感情」を抱いていることに気づくことが解決になるのです。これによってネガティブな思考・感情は断ち切られ、自分をニュートラルに戻す(あるいはそれ以上の状態に引き上げる)ことができます。

しかし、気づきの力を養うには一定の練習・集中力の向上などが必要になります。それを育てるのが瞑想です。

瞑想という解決法

手放し

エックハルトは本書中では「瞑想をやれ」とは言いませんし、方法も紹介していません。

しかし瞑想について触れていますし、禅や仏教などからの影響は明らか。同一化・エゴからの解放の方法的なベースに瞑想があるのは間違いないでしょう。

不快な感情・思考・自己状態に気づくことによって、そのたびに同一化から脱すること、そしてそのような気づきの状態を常に維持することを「今に在る」と表現します。これは禅やマインドフルネス瞑想でよく使われる表現です。

今この一瞬に気づき続けることによって、エゴが崩壊され、形が死に絶え、「私は在る(I AM)」という意識そのものを体験する(p.66)ことになります。これが目覚めであり、あるいは悟りとも表現される境地であり、あらゆる苦しみ・執着から逃れた心の状態なのです。

ペインボディは……今にあるという光には耐えられない。 (p.195)

現在という瞬間を友人としようという決断は、エゴの終わりを意味する。(p.219)

瞑想によって気づきの力を強め、思考や感情やペインボディを自己から切り離し、それを客観視できるようになること。

そしてその延長として今に在り続けることが解決となるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は意識の変容と目覚めという『ニュー・アース』のテーマに沿う形で、同一化・エゴ・ペインボディの話をしつつ、気づきによって目覚めていくという観点から話をしてきました。

とにかくまずは「今自分は不快な思考をしている」と気づかなければなりません。自分の思考と感情にのっとられて振り回される前に我に返ることができれば、その感情と執着を手放し、苦しい思いから解放されるのです。

関心がある方はぜひ実践しつつ、より深い精神世界を描いた『ニュー・アース』をぜひ手にとってみてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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