アルボムッレ・スマナサーラ長老のヴィパッサナー瞑想のやり方をご紹介!【本・書籍紹介】

2020年2月21日

今回は、スマナサーラ長老が提唱するヴィパッサナー瞑想のやり方をご紹介します。

ブッダの瞑想法として知られるヴィパッサナーを学ぶなら、初期仏教の教えを継承するスリランカ上座仏教の長老、アルボムッレ・スマナサーラ氏が最適!

アルボムッレ・スマナサーラ(2011)『自分を変える気づきの瞑想法【増補改訂版】』サンガ. を用いてさっそく解説していきます。なお、仏教に位置づけられる瞑想法ですから、世界観や目的にも仏教色がいくらか含まれます。その点もチェックしておきましょう。

アルボムッレ・スマナサーラって誰?

1945年スリランカ生まれ。13歳で出家し、スリランカの大学で仏教哲学を教えた後、駒澤大学の博士課程で道元を研究。現在はスリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)の長老として、日本で初期仏教と瞑想指導に従事しています。

多数の著作活動やメディアへの出演もあり、瞑想指導者としても著名な人物です。

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世界観について

ただ瞑想をやりたいだけでも、瞑想提唱者には必ずテーマがあり、考え方があり、目的を掲げているもの。

心身の治癒であったり、情動の管理であったり、悟りであったり様々ですが、スマナサーラ長老はどのように捉えているのかチェックしておきましょう。

テーマは"苦しみ・不幸の克服"(p.28~)

人は誰しも何かしらの悩みや苦しみを抱えているもの。病気になったり、お金が無くなったり、人間関係がこじれたり、自分が望んでいる通りにならないことはたくさんあります。

しかし、仏教に則るスマナサーラ氏はこのような外的な問題=不幸だとは捉えません。不幸や苦しみというのはあくまでも心(≒主観)の問題であり、それに私たちがこだわれば病気やいろいろなトラブルがさらに悪化していくものだと教えてくれます。

このような苦しみと不幸の悪循環を断ち切るために、弱い心から強い心を育てていく必要があるのですが、そこで瞑想法が役に立つというわけですね。

瞑想の目的は「悟り」

ヴィパッサナー瞑想は、ブッダが始めた瞑想法。悟りを目指し、智慧を開発し、解脱に到達すること、生きることへの執着を捨てることがこの瞑想の目的だというのがスマナサーラ氏の主張です(仏教ベースなのでこの点は理解できますね)。

とは言え、瞑想によって人間関係が改善し、仕事がはかどるようになり、精神的な悩みが消えて安らぎを感じ始め、人生の成功にも貢献してくれるんだとか。さらには精神病を治したいのならヴィパッサッナーは特効薬(p.103)とまで言っています。

瞑想法の本来の目的に帰依できるのであれば最善かもしれませんが、多くの人にとってそれは難しいかもしれません。「別に解脱しなくていいよ」と思う方は、自分で目的・目標設定をしてもいいのではないかと思います(これは当ブログの意見ですね)。

二種類の瞑想法

ブッダが行った瞑想法は「サマタ瞑想」「ヴィパッサナー瞑想」の2種類。サマタを前提にヴィパッサナーを行っていくことになるため、それぞれの瞑想についてかんたんに触れておきます。

サマタ瞑想とは

サマタとは「落ち着く」という意味。落ち着いた静かな心、集中力のある心をサマーディ(禅定)と呼びますが、まずはこの瞑想段階を修養する必要があります(p.21)。

ヴィパッサナー瞑想とは

心を落ち着けたサマーディ(禅定)状態で行う、「明確にみる」瞑想法です。今自分に起こっていることをありのままに観察します(p.22)。この本では"実況中継"という表現がよく使われています。

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実践!慈悲の瞑想

祈る女性

本書中で紹介されているのは、慈悲の瞑想(≒サマタ瞑想)、ヴィパッサナー瞑想の2種類。まずは慈悲の瞑想からチェックしましょう。

慈悲の瞑想

パーリ語でメッター(metta)と言えば「慈しみ」の意味。信頼とか友情という意味にもなりますが、健康な精神を育むすぐれた瞑想法です。

ヴィパッサナーによって根本的に問題を解決するまでの応急手当て的な瞑想法と捉えていて(p.52)、これを実践することで日々のトラブルが減り、人間関係もスムーズになり、失敗が無くなり、気持ちが落ち着いてきます(p.60)。なお、これはサマタ瞑想の一種です。

慈悲の瞑想のやり方

次の言葉を3回繰り返します。

1.私は幸せでありますように
2. 私の悩み苦しみが無くなりますように
3.私の願い事が叶えられますように

4.私に悟りの光が現れますように
5.私は幸せでありますように

続いて、次の言葉を3回繰り返します。

1.私の親しい人々は幸せでありますように
2. 私の親しい人々は悩み苦しみが無くなりますように
3.私の親しい人々の願い事が叶えられますように

4.私の親しい人々にも悟りの光が現れますように
5.私の親しい人々が幸せでありますように

続いて、次の言葉を3回繰り返します。

1.生けとしいきるものが幸せでありますように
2. 生けとしいきるものの悩み苦しみが無くなりますように
3.生けとしいきるものが願い事が叶えられますように

4.生けとしいきるものにも悟りの光が現れますように
5.生けとしいきるものが幸せでありますように

さらに"オプション"(試し)として次の言葉を3回繰り返すことを勧めています。

1.私の嫌いな人々も[私を嫌っている人々も]が幸せでありますように
2. 私の嫌いな人々の[私を嫌っている人々の]悩み苦しみが無くなりますように
3.私の嫌いな人々の[私を嫌っている人々の]願い事が叶えられますように

4.私の嫌いな人々[私を嫌っている人々]にも悟りの光が現れますように

本書中にはこれ以上の指定は特にありません。当ブログから補足するとすれば、静かな場所で一人落ち着ける場所で座るか横になって、リラックスしてゆっくりと心を込めて上記の言葉を繰り返していきましょう。

実践!ヴィパッサナー瞑想

 

ヴィパッサナーの内容は、瞑想の準備・立つ瞑想・歩く瞑想・座る瞑想の4つで構成されています。すべてを詳細にお伝えすることはできませんので、簡単にさらってみたいと思います。正確にやりたい方は本書を手に入れていただくことをお勧めします。

瞑想の準備(p.106~)

ヴィパッサナーのポイントが5つあります。チュートリアルみたいなものですから、実践に入る前に試しにやっておきましょう。(時間の指定はありませんので適宜行ってください)

  1. ストップモーション(死体を演じ切る)
    完全に動きを止めます。死体を演じ切るつもりでかゆくても何かが気になっても一切動かないのがこの瞑想です。どのような姿勢でも構いません。目を閉じて、呼吸以外の一切の動きをやめます。どんなに気力・生命力が落ちていても取り組めるのがメリットです。
  2. 心の発見
    ここでいう心は「感覚」と理解します。ストップモーションで死体を演じながら、今度は全身の感覚をくまなく観察します。足が痛いとか、微妙に寒いとか鼻の頭がかゆいとかいろいろあると思いますが、それを感じて、放っておくこと。この繰り返しをします。
  3. 実況中継による思考停止
    ストップモーションしつつ、感覚を発見しながら、実況中継も行います。たとえば座っている場合は「座っています、感じています」。座っているのは体、感じているのは心です。他の思考が割り込まないように「座っています感じています座っています…」と繰り返しましょう。
  4. スローモーション
    焦りをなくして因果の法則を発見します。目を開けるか閉じてから、とにかくゆっくり体(手など)を動かしてみます。感覚で動かしましょう。動かしている手などを見ないこと、スロー再生のようにじっくり動かすこと、速度を変えないこと、実況中継することが大切です。
  5. 背筋を伸ばす
    座って瞑想をする場合、背筋を伸ばします。背骨を1つ1つ積み上げていくイメージでゆっくり伸ばし、「伸ばす伸ばす伸ばす…」と実況中継しながらやります。また力を抜き、「力、抜けます抜けます…」と実況中継しながら意識を下へ下へと下ろしてお尻に持っていきます。

立つヴィパッサナー(p.129~)

立ち上がる瞑想です。スローモーション・実況中継・感覚を感じるといったポイントを思い出しましょう。

背筋を伸ばして座った状態から「右手を上げます、広げます、置きます……左足を上げます、上げます、上げます……」という風に立ち上がるまでを実況中継します。「腰を上げます、上げます、上げます……立ちます、立ちます……」ととにかくゆっくりやりましょう。

立ち上がったら足を肩幅より少し広げて立ち、左右均等になるように感じていきます。手をゆっくり動かし、体の正面で組み、背筋をまっすぐしたまま、10分くらいずーっと立ったままでいます。ここまでずっと「足を広げます」「立っています、感じています」と実況中継します。

歩くヴィパッサナー(p.137)

背筋を伸ばしてから歩きます。上半身はまったく動かしません(図の中では手は軽く後ろで組んでいます)。下半身だけ、足だけ動かしながら「右足、上げます」「運びます」「おろします」「左足、上げます」…と繰り返していきます。

ひとつひとつの言葉に重みがあって、その意味を感じるようていねいにやりましょう。隙間なく実況中継しながら、最初はゆっくりからはじめ、どんどん速くしてもかまいません。

座るヴィパッサナー(p.141)

まずは座るところから。座布団などをお尻の下に敷き、お尻を少し後ろに突き出して腰を定めます。骨盤から頭のてっぺんまで「伸ばす、伸ばす」と実況しながら背筋を伸ばし、頭のてっぺんから意識を下半身のほうへ下げていきます。(実況:力抜けます、抜けます……)

胴体を30度くらい前に倒し、(実況:倒します、倒します)しながら、瞼を閉じてから「目を閉じます」を20回くらい実況します。上半身を上げて、まっすぐな姿勢で止め、(実況:上げる、上げる…止める)、上半身を固定します(実況:固定します、固定します…)。

腹式で深呼吸してから、何もしないで待つ時間も設けます(実況:吸います…吐きます…待ちます…)。下腹部に意識を集中し、腹式呼吸を実践するのですが、下腹部の「膨らみ」「縮み」を実況します。(実況:膨らみ、膨らみ、縮み、縮み……)

もし、足が痛いとか、しびれるとか、音が聞こえる、と感じたら「痛み、痛み」「しびれ、しびれ」「音、音」と実況しましょう。どの場合でもそうですが「膨らむ」「縮む」「足が痛い」「しびれる」という実況だと「私」(我)が入り込んでしまうので表現に気を付けましょう。

終わるときは深呼吸して目を開けて終了していきますが、最後まで絶え間なく実況し続けましょう。

瞑想のプログラム(p.154)

以上のような瞑想を一日どれくらいするのかについて、以下のようなメニューが提案されています。

  • 10分間、立つ瞑想
  • 1時間歩く瞑想
  • 10分間、立つ瞑想
  • 30分間、座る瞑想
  • 10分間立つ瞑想
  • 1時間歩く瞑想

3時間20分です。がっつりですね。氏によれば、これで心は完治するそうです。すべての悩みから解放され、一切無常で自己は存在しないという悟りの境地に至れるようですので、本気で取り組みたい方は参考にしてみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか。

スマナサーラ長老が教えてくれるヴィパッサナー瞑想をご紹介しました。

今この瞬間の感覚や雑念に注意を払い続けることで心を集中へ導いていくプロセスは興味深いですよね。さまざまな瞑想法がありますが、ヴィパッサナーは代表的なもののひとつですので、ぜひチャレンジしてみてください。

なお、当ブログでは代表的な他の瞑想法も紹介しているので、興味のある方はご覧ください。
参考!


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