【書籍紹介】元祖ポジティブ・シンキング!『積極的考え方の力』を詳しく!

2019年4月15日

積極的考え方の力

古典的成功哲学の名著に数えられる『積極的考え方の力』(ダイヤモンド社)。

キリスト教牧師であったノーマン・V・ピールが著し、ポジティブ・シンキングという言葉を世界中に広める契機となった本です。

自分の健康・幸福・成功を信じて素晴らしい人生を生きようという考え方は、19世紀半ばから米国に起こりました。それから100年後の1952年、本書が著され、日本を含め多くの言語に翻訳され、いまだに親しまれています。

「ポジティブ・シンキングって前に進んでいくために大切な考え方だよね」と考える方もいるでしょうし、
「そういうのって中身のない人たちが説教臭く語る薄っぺらい言葉でしょ?」と感じている人もいるかもしれません。

ではポジティブ・シンキングの本来の姿はどんなものなのか?今回は、ピールの名著『積極的考え方の力』の内容を詳しく紐解き、その具体的な中身に迫ってみたいと思います。

ちょっとだけ人物紹介
ノーマン・ヴィンセント・ピール(1898-1993)はニューヨークのマーブル協同協会(プロテスタント系)の牧師でした。精神医学とキリスト信仰の接点を探っていた彼は、ラジオ・テレビに出演し、雑誌の編集を行うなど意欲的に活動します。

『積極的思考の力』を発表して物議をかもしますが、やがて彼の活動と功績が認められ、1984年にはレーガン大統領から大統領勲自由章を与えられています。

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この本の世界観は?

本の世界観

ポジティブシンキングは、ただ前向きな心構えでいようというものではなく「心(マインド)によって自分を変える」「願いは叶う」というところまで含んでいます。今風に言えば引き寄せの法則、伝統的に言えばニューソート・成功哲学がこれに相当します。

ピールは、思考がどうして人生に大きな影響を与えると捉えるのでしょうか?その世界観をチェックしていきましょう。

神の力によって実現する

ピールの提唱する"積極的考え方の力"は、神(もしくは信仰)の力によって実現されると説きます※。

聖書の中にある言葉を深く信じることによって問題を取り除き、願望を実現していきます。神にその身を委ね、芥子種ほど(ごく小さいもの)の信仰があれば人生が好転すると、と言われます。

本文中でよく引用される聖書の一節は以下。

・我を強くし給う者によりて凡ての事をなし得るなり。【ピリピ書4章13節】
(わたしを強くして下さるかたによって、何事でもすることができる。)
・もし芥種一粒ほどの信仰あらば……かくて汝ら能はぬことなかるべし。【マタイ伝17章20節】
(もしからし種一粒ほどの信仰があるなら……あなたがたにできない事は、何もないであろう。)

このように、非常にキリスト教色が強いのが特徴ですが、ただ「神を信仰せよ」というほど一面的でないところに魅力があるのです。

※実はピールはやや特殊
19世紀から始まるニューソートは「神=宇宙の法則」と捉え、伝統宗教に反発する形で生まれた新思想です。

それをプロテスタント系のピールが再吸収し、かつ精神医学と絡めながら宗教的癒しの話をするのはアイロニカル。ニューソート的思考が社会全体に浸透していたことが伺えます。

こちらも参考にどうぞ。


“宗教の勧誘"ではない

神以外に「潜在意識」という言葉を使ったり、エマーソン(思想家・文学者)やウィリアム・ジェームズ(心理学者)が引用されるなど、神への信仰のみを願望の実現(現実化)の根拠にしているわけではないことが伺えます。

ピールは、正しい心の態度によって自身の生活を立て直すため、自分の望みのための励みになる言葉や方法をキリストの思想から引用しているようにも思われます。

もし宗教が苦手、キリスト教を信仰するのはちょっと…という方でも、聖書を自己啓発書だとみなして敷居を低く見積もれば、学べることはたくさんあります。

続いて、ピールの魅力的な考え方にも注目してきましょう。↓

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ピールの考え方

ノーマン・ピール

<出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Norman_Vincent_Peale>

ピールの特徴的な考え方の傾向を、4つほど取り上げてみましょう。

大事なのは苦しみや不幸を取り除くこと

本書では、死の宣告をされて余命少ない人、事業で失敗してすべてを失った人、成功を求めて努力をするも実りのない人、事そういう人たちが引き合いに出される傾向があります。

望まないことに苦しみ、望んでいることを得られない不幸を、心の在り方を変えることで好転させていくことができると励ましてくれます。

不幸を作り出しているのは自分

ピールは、世の中には外部から幸福を奪おうとする問題がありあまるほどあるのに、さらに自分の心の中で不幸を製造している(p.89)と指摘。

習慣的に物事の暗い面ばかりを取り上げ、「人には与えられたのに自分にはない」といって不平をこぼし、不快なものについて考え続け、怨恨・悪意・憎悪・心配・苦労が増加し、現実がさらに悪化しがち。だからこそ自分から不幸を作らないようにと、ピールは諫めています。

平和と幸福の心

現実を好転させて願いを叶えるため、より好ましい心の状態を維持することを大切にします。心を空っぽにすれば憂鬱や不安そのほかの不快な感情を断ち切れることができる。だからその努力を意識的に行ったり、1日に15分ほどの「沈黙の行」(=坐禅・瞑想)を勧めています。

心に幸福感を満たしておくことも強調され、これを『幸福の習慣』と呼びました(p.91)。これは思考上の習慣であり、ただ幸福と感じ、考えるものを選択することであることだとピールは述べています。不快な考えを払いのけ、幸福を感じられるものを選び取るわけですね。

願望が実現するから幸福になるのではなく、幸福になるから夢が叶うというのは知られていますね。感情の価値は特に引き寄せの法則で強調されますが、まず幸福になってから結果を得る、という順序を覚えておきたいですね。

毎日の始まりに当たっては、幸福な結果を確認しなさい。そうすれば、いかにしばしば物事がそのとおりの結果になっていくか、まったく驚くほどである。 同書 p.93

結果を信じる心、自分を信じる心

信じる心(=自信)によって何事をもなすことができるというのが繰り返し述べられます。自分の自信のなさを消し去るためには習慣的に心を占めている考え方を変えることであり、そのためには自分を勇気づけてくれる言葉を繰り返したり、覚えこんだりすることが効果的。

ピールは牧師ですから、もちろん聖書が登場します。「神もし我らの味方ならば、誰か我らに敵せんや」(ローマ書8章31節)を1日10回唱えよう、と勧めてくれます(が、自分の心を高めてくれるならほかの言葉でもよいでしょう)。

ふだんの自分の思考は本当に自分を支配しています。ふいに飛び込んでくる暗い考え・苛立ち・不安を、心地よく自信を刺激してくれる言葉・イメージ・考えに挿げ替えて繰り返し続けることが効果的。ピールはこれを的確に指摘しています。

ポジティブ・シンキングの本質は「自分を苦しめて現実を悪化させる【考え】を、自分を喜ばせて現実を好転させる【考え】に入れ替えよう!」というそれだけのこと。では具体的に、どうすればよいのでしょう?次はその方法を見ていきます。

ポジティブに思考する方法って?

ポジティブ・シンキング

本書の中で、方法はいろいろな場所に散らばっていてまとまりがありませんが、その数は非常に多く、実践者の役に立つハウトゥ本としての価値があります。その一部をごく簡単にご紹介してみましょう。

自信を持つ十か条(p.26)

  • 成功のイメージをねばり強く持つこと。
  • 障害物は過小評価し軽んじること。
  • ピリピ書4章13節を復唱すること。
  • 自分の実際の力をはかりそれを10%高めるようにすること etc.

自分の問題は客観的に正しく捉えなければならないが、恐怖や不安に膨張させてはいけないとピールは言います。現実無視のポジティブ・シンキングではなく、それを踏まえて正しい心構えを持とう、と教えてくれます。

生活の祈祷化(p.69,81)

  • 問題が起きたなら、歩きながらでも車を運転しながらでも、常に神に対してどのようにするべきかを問い立て「主よ、どのようにするべきでしょうか」と問い続けること。

生活のすべてを祈りにしてしまうドラスティックな方法です。神への信仰があればそのまま実践し、スピリチュアルに抵抗がなければ自分の信じる対象に、問題を預けてしまうのが良いでしょう。

映像化すること(p.70)

  • 心の中に成功(or幸福)のイメージを思い描き、映像化すること。
  • これはピール自身も実践して効果を実感し、人に勧めたことのある方法。

いわゆる「イメージング」「ヴィジュアライゼーション」と呼ばれるイメージによる願望実現法です。ニューソートならハーネルやゴダードもこの価値を特に強調していますし、誰もが知るポピュラーな方法ですからぜひ試したいですね。

人生の問題を解決する10か条(p.179)

  • どんな問題でも解決されると信じること。
  • 平静な気持ちでいること。
  • 自然に解決が生まれるまでくつろいだ気持ちでいること。
  • 問題について神に祈りをささげること。
  • 神の洞察力と直観力を信頼すること etc.

緊張することで思考力が鈍るとして、リラックスすることを強調しています。神、あるいは問題が解決されるという結果への信頼の姿勢が強調されます。

積極的な考え方のための7つの方法(p.219)

  • あらゆる物事について楽観的に話す。
  • 聖書の福音書の中の信仰に関するところに印を付け暗記する。
  • 積極的な考え方をする友人のリストを作る。
  • 論争を避ける。
  • 祈りと感謝の気持ちをささげるetc.

普段からの思考をポジティブな考え方に切り替えていくために、会話に注意を払い、友人関係もこの点から見直していきます。また聖書には多く慰め励ましてくれる箇所がありますから、それを暗記することは効果的でしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

ピールは信仰を通して、生活のあらゆる面を良くし、望みを叶えていく正しい態度を提供してくれました。

ポジティブ・シンキングにせよ自己啓発にせよ、内容が薄っぺらい本があまりにも多いですが、本書は中身がぎっしり詰まった価値ある一冊です。ポジティブ・シンキングの正しい意味を理解し、自分が望む人生を創り上げていきましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

参考文献・URL

ノーマン・V・ピール(1964)『積極的考え方の力』(相沢勉訳)ダイヤモンド社.
https://en.wikipedia.org/wiki/Norman_Vincent_Peale

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